介護職において外国人を雇用するには?
公開日:2023/05/18
慢性的な人手不足とされる介護業界。不足する人員を確保するため、各介護事業者は人材確保に全力を挙げています。
こうした状況を改善する方法の一つとして注目されているのが外国人労働者の雇用です。本記事では外国人を介護職として雇用するための4つの制度や外国人を雇用するメリット、特定技能支援会社の活用などについてまとめます。
介護職で外国人労働者が必要とされる理由
日本は超高齢化社会を迎え、労働力が不足することが予想されています。厚生労働省は2025年までに34万人もの介護職が不足すると予測しました。
しかし、介護事業所による人材確保は思うように進んでいません。この背景には介護業界の持つ給与が低く、仕事がキツイというマイナスイメージがあります。
介護保険制度の中で各種サービスの報酬単価が決まっているため、事業者ごとの自由な価格設定や従業員の給与への反映が難しいという構造的な問題もあり、人材確保に苦労しているのです。
そこで注目されるのが外国人労働者の雇用です。多くの事業所は外国人労働者を雇用し、人手不足を解消しようとしています。介護業界で働く外国人労働者の数は増え続けており、国は外国人の登用やIT活用、ロボティクス化などで問題の解消に向けた計画を進めています。
介護現場で外国人を雇用するために活用できる4つの制度
介護現場における外国人労働者への需要は高まっています。しかし、いざ雇用しようと考えてもどのようにすればよいか迷うかもしれません。
ここでは、介護職で外国人を雇用するときに活用できる4つの制度についてまとめます。
EPA介護福祉士候補者
EPA介護福祉士候補者は、経済連携協定(EPA)に基づき、日本の介護施設で就労・研修をしつつ、日本の介護福祉士資格の取得を目指す外国の人々を指します。
平成20年度より受け入れが開始され、累計で5,000人以上が受け入れられています。対象は、フィリピン、ベトナム、インドネシアの3か国で、国別で要件が異なります。候補者になるには、各国の介護・看護の学校に3~4年間通わなければなりません。
加えて、日本語の研修を受け、一定以上の日本語力を身につけてからでないと入国できません。
在留資格「介護」
在留資格「介護」とは、在留資格の一つで外国人が日本の介護施設において介護職として勤務するために必要です。資格取得者は介護の専門職、指導者として勤務できます。
取得には、日本の介護福祉士の養成施設を卒業することや、原則、介護福祉士の資格を持っていることなどが条件となります。高い日本語力を持ち、即戦力として勤務出来ます。在留期間の制限はなく、長期的に働くことができるほか、訪問系サービスも可能です。
在留資格「介護」資格者は、家族の帯同も可能で、在留期間更新に回数制限もありません。定年まで日本で働けるため、人材不足の解消にもつながると期待されています。
介護職種の技能実習生
平成29年から介護職種でも外国人技能実習生を受け入れています。外国人技能実習制度とは、外国人労働者が日本の企業で技能を習得するための制度です。外国人労働者は、日本において技能を習得し、自国でその技能を活かして働くことを目的としています。
しかし、最長5年しか滞在できないため、人材不足を長期的に解消することはできません。
特定技能「介護」
特定技能「介護」とは、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度です。介護職では最大5年間までですが、介護福祉士資格を得ると在留資格「介護」に変更できます。その結果、期限に縛られることなく日本で働くことが可能となります。
特定技能「介護」の業務は、身体介護や支援に関する業務です。しかし、訪問介護などは対象外です。
特定技能登録支援会社への相談がおすすめ
登録支援機関とは、特定技能外国人が日本に在留している間、支援計画の作成や実施を担当する期間のことです。受け入れ機関から外国人のサポートを委託され、支援に関する業務を行っています。
法務省出入国在留管理庁に届け出を提出して事業を行っていて、3か月ごとに実施状況を報告する義務があります。特定技能「介護」で外国人を雇用するには、以下の4つの条件を満たさなければなりません。
・適切な雇用契約が締結できる
・5年以内に法令違反がない
・外国人が理解できる言語で連絡が取れる
・適切な就労支援計画が用意できる
登録支援機関は外国人との連絡や適切な収量支援計画の用意ができますので、企業と特定技能「介護」で来日した外国人労働者の橋渡し役となることができます。
まとめ
今回は介護職で外国人を雇用する必要性や外国人雇用に活用できる4つの制度、特定技能登録支援会社の内容などについて解説してきました。
外国人とのコミュニケーションは言語や文化の違いなどがあるため、難しい側面があります。
だからこそ、外国人との接触経験が豊富で就労支援の実績がある特定技能登録支援会社への相談がおすすめです。介護現場の人手不足を解消し、労働環境の改善をするためにも外国人の雇用や特定技能登録会社の利用などを進める必要があるのではないでしょうか。